田崎晴明著・「統計力学Ⅰ」の内容のギモン点、先生直々コメント!

「統計力学Ⅰ」(培風館)の著者である田崎晴明先生は東京大学卒で現在、学習院大学教授の物理学の権威の方です。

その「統計力学Ⅰ」の注釈の中から理解ができない点があるとのギモンの声が挙がっていたので、紹介したいと思います。

この注釈の内容は次の通りです。

同著に物理量の次元を考える上で指数関数の引数は、必ず無限大になるというのは理解できますが…

しかし、「対数の引数は必ず無次元になるとはいえない」という点がわからないとのでした。

 

どうしてこのようなものになったのかというギモン点に、田崎晴明先生から直々にアドバイスがありました。

「まずはじめに、まともな物理の関係式でA=exp(B)

というのがあったとしたら、本に説明した理由によりBは無次元となります。

これをひっくり返せば、B=log(A)

ですから、この場合はログの引数Aも無次元になります。

しかし、ここでA=CDと書いて、しかもCとDが次元を持っているということは可能です。

ということで、上の式はB=log(C)+log(D)となります。

ちゃんと左辺は無次元と言えますが、ログの中身は次元を持っている。

これは別に悪い計算でもありません。

ぼくの方の本の先をご覧になると、これに相当することをやっている部分がたくさんあるはずです。

『対数の引数も無次元にしたほうが見通しがいいから、なるべくそうしよう』と考えるひともいるかと思われます。

それはひとの好みがわかれるところなので、趣味によるかと考えられます。

ただし、引数関数の場合と違い、別に引数を無次元にすることをこだわらずにしても、ちゃんとした関係は書けるといえますよ。

そして問題としているのは、わりと抽象的な物理の理論での話となっています。

そのような場面では、次元のある物理量を扱うときにも単位を特定とせずに、物理量の中に単位が含まれるとしたら、

たとえばL=0.1m=1.0㎝=100mmのように使います。

というわけで、『単位をはぎ取る』という場合には同じ次元を持った、適切な量を選んでそれを割る必要が出てきます。

次元のある量を対数の引数にしても、何も困らないということです。

一貫してきちんと計算する限り、次元にかかわる矛盾は一切出てこないというわけになります。」

 

という、田崎晴明先生直々の考えを教えていただきました。

このような機会はあまり見られないので、とても貴重な場面だったのではないでしょうか。