現在、暗号資産(仮想通貨)分野で注目を集めているワードが「NFT」です。
戦時下のウクライナ政府が、費用調達のためにNFTアートの販売を開始した……というニュースもありました。
この記事では「NFTって何?」という方のために、NFT とNFTアート、NFTマーケットプレイスについてご説明します。
NFTとは?わかりやすく説明
NFTとは「Non-Fungible Token」(非代替性トークン)の略で、デジタルコンテンツの作成者や所有権を明確にし、コンテンツが世界に一つしか存在しないことを証明する仕組みです。
いわば「デジタル鑑定書・所有証明書」です。
従来のデジタルコンテンツはコピーや改ざんが簡単にできる上に、いったんコピーされてしまうと本物とコピーとの判別が難しいという問題がありました。
このため、デジタルコンテンツは現物の宝石や美術品のような資産価値があるとはみなされていませんでした。
NFTの登場によってデジタルコンテンツの所有権が明確になり、自分が持っているデジタルコンテンツが世界に一つしか存在しない本物であると証明できるようになったのです。
これによってデジタルコンテンツにも資産価値が生まれ、NFT市場は2021年に急速に発展しました。
NFTとブロックチェーン
NFTはブロックチェーン上に情報を記録することで、デジタルコンテンツが世界に一つしかない本物であると保証する仕組みです。
- 多数の参加者が分散して情報を管理する技術
- 情報のコピーや改ざんがほぼ不可能と言われている
NFT化されたデジタルコンテンツには固有のトークンIDが発行され、作成者や所有者、取引履歴などの情報が紐づけられます。
これらの情報はブロックチェーンの参加者で共有されることで信頼性が担保され、NFT化されたコンテンツが本物であることや、コンテンツの作成者・所有者などが明確になるのです。
NFTが活用されている分野
以下のような分野では既にNFTの活用が始まっています。
- ゲーム
- アート
- トレーディングカード
- ファッション
- スポーツ
- チケット
- 会員権
NFTと仮想通貨の違いは?
NFTはブロックチェーン技術を利用した暗号資産(仮想通貨)の一種です。
他の仮想通貨とNFTの違いは、「非代替性」というキーワードにあります。
先述の通りNFTとは「Non-Fungible Token」の頭文字を取ったものです。
「Non-Fungible」は「非代替性」と訳され、他のもので代わりがきかないことを意味します。
つまりNFTは代わりのきかない一点物というわけです。
一方、NFT以外の仮想通貨は代替が可能で、たとえばAさんが保有する1BTC(ビットコイン)とBさんが保有する1BTCを交換しても、それぞれ1BTC保有している状況には変わりありません。
NFTは「代替不可能」である点で、他の仮想通貨と大きく違うのです。
NFTアートとは?
NFTアートとは、NFT技術によって作成年月日や所有者履歴といった情報を付け加えた画像・動画・音楽などのデジタルアートのことです。
従来のデジタルアートは現物が存在せず、簡単にコピーや改ざんができたために資産価値はほとんど認められませんでした。
これに対してNFTアートは世界で唯一の本物であることが保証されるため、現実世界のアート作品と同様に資産価値を持つようになったのです。
NFTアートには次のような特徴があります。
- 一点物であることが保証される
- 誰でも売買できる
- 転売されたとき作者にも報酬が支払われる
- 購入しても著作権を得ることはできない
一点物であることが保証される
NFTアートの作成者や所有者履歴などの情報は、ブロックチェーン技術によってコピーや改ざんの難しい形で記録されます。
これによって、そのNFTアートが世界に唯一の本物であることの証明が可能になるのです。
誰でも売買できる
NFTアートはマーケットプレイスを利用してオンラインで取引できるので、誰でも気軽にNFTアートを売買できます。
さらに、アーティストとしての知名度や実績のない一般人でも、NFTアートの作成・出品が可能です。
過去には小学生が描いたNFTアートが高値で取引されたこともありました。
転売されたとき作者にも報酬が支払われる
これまでのアート作品は、二次流通市場で転売された場合に、作者にお金が入ることはありませんでした。
NFTアートには「二次流通市場で売買されたとき、一定の報酬が著作権者に支払われる」などのプログラムを付け足すことができます。
他にも作品を無断で複製できなくなるなど、NFT技術によってアーティストの権利はより保護されるようになりました。
購入しても著作権を得ることはできない
NFTアートは売買されても著作権は移動しません。
つまりNFTアートを購入しても著作権を得ることはできないのです。
購入したNFTアートを私的使用の範囲を超えてコピー・改変してはいけません。
NFTアートの例
先ほど少し触れましたが、2021年に小学3年生の男の子が夏休みの自由研究で描いた絵が、NFTアートとして約170万円で取引され話題になりました。
男の子のお母さんによる記事です↓
NFTアートの作成・出品方法
先に述べたように、NFTアートは誰でも作成・出品・販売ができます。
NFTアートを作成・出品する手順は以下の通りです。
- オリジナルアートを作成
- NFTマーケットプレイスに作品データをアップロードしてNFT化
- NFTアートの販売方法を設定して出品
なお、オリジナルアートは自分で作成する以外に、クラウドソーシングサービスを利用して外注するなどの手段もあります。
NFTマーケットプレイスとは?
NFTコンテンツを自由に取引できる売買プラットフォームがNFTマーケットプレイスです。
NFTマーケットプレイスでは、主に次のことができます。
- NFTの作成・発行
- 作成したNFTコンテンツの出品・販売(一次販売)
- NFTコンテンツの購入
- 購入したNFTコンテンツの販売(二次販売)
以上からわかるように、NFTマーケットプレイスでは利用者間でそれぞれ保有しているNFTコンテンツを売買することも可能です。
なお、出品や二次販売に制約を設けているNFTマーケットプレイスもあります。
おすすめのNFTマーケットプレイス
おすすめのNFTマーケットプレイスを3つご紹介します。
- OpenSea
- Adam byGMO
- Coincheck NFT(β版)
OpenSea
OpenSeaは、世界最大のNFTマーケットプレイスです。
NFTアートをはじめ幅広いジャンルのNFTを取り扱っており、誰でも簡単にNFTの作成・出品ができます。
どのNFTマーケットプレイスを利用するか迷ったら、とりあえずOpenSeaを覗いてみてはいかがでしょうか。
Adam byGMO
Adam byGMOはGMOインターネットグループが運営するNFTマーケットプレイスです。
多くのNFTマーケットプレイスでは決済に仮想通貨が必要ですが、Adam byGMOは日本円での銀行振込やクレジットカード払いにも対応しています。
ただしAdam byGMOは一次出品には審査があり、誰でも自由にNFTアートを出品できるわけではありません。
CoincheckNFT(β版)
Coincheck NFT(β版)は仮想通貨取引所Coincheckが運営するNFTマーケットプレイスです。
現在はまだβ版であり、取り扱っているコンテンツは一部のゲーム内アイテムなどに限られますが、今後追加されていくものと思われます。
NFTマーケットプレイスを利用する際の注意点
NFTマーケットプレイスを利用する際には、以下の点に注意が必要です。
- 利用規約をよく確認する
- 取引成立後にキャンセルや返品はできない
- 偽物・フィッシング詐欺に注意する
- 決済通貨の値動きに気を配る
利用規約をよく確認する
マーケットプレイスによってはNFTコンテンツの出品や二次販売に制約を設けていたり、権利関係に細かい違いがあったりするので、必ず利用規約をよく読んで確認してください。
取引成立後にキャンセルや返品はできない
NFTマーケットプレイスでは、いったん取引が成立するとキャンセルや返品ができません。
間違って購入してもキャンセルできないので、NFTコンテンツを購入する前にはコンテンツの内容をよく確認する必要があります。
偽物・フィッシング詐欺に注意する
NFTコンテンツは本物であることが保証されていますが、「元々がコピー・盗作のデジタルコンテンツをNFT化して出品する」といったケースも考えられます。
そのような偽物を購入してしまわないよう注意が必要です。
また、ゲーム内アイテムにも偽物が存在します。
たとえば2021年3月にはThe SandboxのLAND(ゲーム内の土地)の偽物がOpenSeaに出品され、注意が呼びかけられました。
OpenSeaでLANDを購入するときにThe SandboxのLANDかを必ずご確認ください。
偽物かもしれないと、疑問に思ったら「購入前に」一度ご相談ください。
現在、OpenSeaに対し、偽LANDの排除の対応依頼中です。 https://t.co/0FZj3LIkPP
— 【公式】The Sandbox (ザ・サンドボックス) (@TheSandboxJP) March 30, 2021
実在するNFTマーケットプレイスを装ったメールを送信し、偽サイトに誘導するフィッシング詐欺も多いのでご注意ください。
決済通貨の値動きに気を配る
NFTマーケットプレイスでは多くの場合、決済にイーサリアムなどの仮想通貨を使用します。
このためNFTコンテンツをより安く購入するには、コンテンツの価格だけでなく決済通貨の値動きも考慮することが必要です。
NFT業界はまだまだ発展途上であり、法整備も追いついていないのが実情です。
これからNFT業界がどう成長していくのか、大変興味深いところですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。